画面全体が、無数の細かい点で覆われている。それは、まるで光の玉が弾けて飛び散る一瞬を描きとめたかのようだ。光の粒子は、背景の青の粒子と解け合うとき、一層輝きを増し、ゆらめきながら幻想的な光を放っている。この作品は、月、星、太陽が、ふるさと宮崎の田園に映じて輝いている心象風景を描き出したものであるという。その早い死の前年であるこの当時、
瑛九の制作は、急流を下るように自己の様式の最終的な確立へ向かっていた。この頃、知人へ宛てた手紙に「昨日から120号にとりかかっていて、こうして一歩一歩ふみかためて行くつもりです」と記している。目標を捉えた
瑛九の、強い意気込みが感じられる。