青衣の若い女性が、肘掛け椅子にゆったりと身体をゆだねている。縦長のカンヴァスを用いて、画面いっぱいに対角線上に人物を描いている。伸びやかな構図といい、冬着の青色を取りかこむ椅子や花の赤い色面がかもしだすリズム感といい、新鮮な輝きをもって私たちに迫ってくる。鮮やかで強い色彩が画面に踊り、鋭い
[タッチ]でグイグイと描いている。85歳の時の作品であるが、鮮烈な色彩や強い筆触には年齢を感じさせない力強さと自信がうかがえる。山田は、戦後、
[印象派]の手法をとり入れた穏やかな色調の作品を描いているが、次第に色彩が鮮やかになり、強い筆圧の作品を描くようになっていく。晩年まで精力的に欧州各国に題材を求め、魅力あふれる女性像や力強い風景画を数多く残している。