サン・トロペに移り住んだ1892年以降
[シニャック]の作風は、南フランスの太陽と海に刺激を受け、より鮮明な色彩を打ち出すようになる。描かれる点は大きくなり中世のモザイクに似た装飾性をより強く表現する独自の世界を築いていった。装飾性に重きを置いたこの作品からは、新
[印象派]が
[フォーヴ]ィスムに与えた影響を読みとることができる。この作品に描かれている港の風景は、
[シニャック]の得意とする題材である。それまでの厳格な色彩理論から離れ、自然から受けた感動を率直に表現しようとした作品である。