祓川神楽は、霧島東神社の社家の年中行事の一つとして祓川地区に伝えられているもので、毎年12月の第2土曜日から翌日にかけて、一連の神事とともに夜を徹して33番が舞われる。
祓川神楽の特徴は狭野神楽同様に「剱舞」が多く勇壮であることが挙げられる。特に天神地祇12神になぞらえた12人が真剣を持って約1時間にわたって勇壮に舞う「十二人剱(じゅうににんつるぎ)」は有名である。
また宮崎県北方面の神楽で見られる宿借り神事である「門境」をはじめ、南九州でしか見られない「杵舞」、神楽最初の「浜下り」において、神楽宿の婦人が「天照大神」に擬されるなど、女性祭祀の名残が見られるほか、神楽宿での諸行事も数多く残っていることが挙げられる。
霧島山付近を含む南九州に残存する「霧島神舞系」の神楽は少なく、わずかに残るものでも番付が数番のみという状況の中で、祓川神楽は、狭野神楽と共に貴重な存在となっている。