酒谷の坂元棚田及び農山村景観
( さかたにのさかもとたなだおよびのうさんそんけいかん )
選定者 |
国 |
種別 |
重要文化的景観 |
選定年月日 |
H25.10.17 |
所在地 |
日南市酒谷 |
宮崎県日南市西部の山間地に位置する酒谷地区は、年間降水量が3000㎜を超える多雨地帯であり、飫肥杉の豊かな林相が広く展開している。
集落の起源は未詳だが、近世には郷士(ごうし)と呼ばれる足軽組軍団が畑地とともに山中に分散して居住していた。
近代になると、人口の急激な増加に伴う食糧増産の必要から耕地整理組合が組織され、酒谷の坂元集落では昭和3年(1928)から昭和8年(1933)にかけて、従来の茅場(かやば)・秣場(まぐさば)に棚田が開かれた。
棚田は、傾斜7分の1の斜面地に、石積みで区画された3アールないし5アールの長方形の水田が整然と展開する。棚田への導水は約1.6㎞離れた2本の水系から水路を引いて行われており、棚田中央部を石積みの用排水路が貫いている。また、集落近傍は古くから飫肥杉の林地となっており、良質の船材として油津の港町等に移出された。
このように、酒谷の坂元棚田及び農山村景観は、昭和初期の耕地整理事業により完成した石積みや用排水路を伴う長方形区画の棚田及び良質の船材として植林された飫肥杉林等で営まれる生業と、畑地及び果樹林等を伴う居住地における生活とによって形成された農山村景観である。
※地域に関する実測図は、日南市教育委員会(生涯学習課)および宮崎県教育庁文化財課にて閲覧できます。

