展示室のご紹介
画像の数字をクリックすると詳細が表示されます。
1館全体案内
- 本館は1971年に開館し、1998年にはリニューアルされました。
1階は自然史、2階は歴史と民俗の3つの常設展示室があります。
自然史展示室では、宮崎県に特徴的な動物、植物、地質の資料を中心に紹介しています。歴史展示室では、本県の約2万年前から現在までの歴史の流れを時代順に展示しています。民俗展示室では、本県の山、里、海にくらす人びとの生活や使われていた用具、地域のまつりや神楽を紹介しています。
このほか、本館の東側に約150年前から200年前に建てられた県内の民家が設置してあります。
2自然史展示室
- 入口で皆さんを出迎えているのは、樹齢200年ほどのタブノキです。ここから宮崎の自然を体感できる自然史展示室の始まりです。
展示室は、宮崎の森と水辺、大地、生物、ふるさとの自然の5つに分けられ、総数4,500点を超える実物資料・レプリカ・模型を展示しています。照葉樹林や干潟・サンゴの海のジオラマでは豊かな宮崎の自然を再現しています。
ぜひ、備え付けの潜望鏡で森の地表や海中を探索したり、剥製標本を間近に観察してください。鳥やカエルの鳴き声を聞いたり動植物の香りを嗅げる展示もあります。
3ムササビ
- ムササビは、森にすむリス科のほ乳類です。平地から標高2,000m近くまですんでいます。顔に白い帯模様があるのが特徴です。植物食性で、種子や果実、花などを好んで食べます。食べ物が少ない冬でも冬眠をせず、シイやカシのかたい葉や木の皮を食べます。
ムササビの最大の特徴は、グライダーのように滑空することです。首から前足、後足、尾のつけねまで皮膜があります。これをマントのように広げて風をうけ、木から木へ飛びうつります。太く長い尾でバランスをとり、自由に方向を変えることもできます。
4宮崎の森
- 宮崎県では標高1,000m以下に照葉樹の森が広がっています。日本でも有数の照葉樹林であり、宮崎県の自然を代表するものです。
照葉樹はタブ、シイ、カシなどの種類があります。また、標高1,000m以上の山地帯にはブナの森が広がります。ブナの森には紅葉し落葉する植物が見られ、四季の変化がはっきりしています。
宮崎の森はほ乳類、鳥類、昆虫類など多くの動物たちのすみかとなっています。
5タヌキ
- タヌキはイヌ科の動物で、人里に近い照葉樹林などにすんでいます。最近は、天敵がいない市街地でも生活するようになりました。
夜行性で昼間は休み、日が暮れると活動を始めます。雑食性で色々なものを食べます。夏は昆虫・カエル・ヘビなどを中心に食べ、秋になると果実やドングリなどの木の実を食べます。嗅覚や聴覚が優れているため、お互いに匂いをかぎ合ってコミュニケーションをとります。
またタヌキは溜めふんといって、いつも決まった場所でふんをする習性があり、これもコミュニケーションの1つです。
6照葉樹林文化
- 照葉樹林は温暖で夏に雨の多いモンスーン気候帯にみられる森林で、日本を含む東アジアに広がっています。東アジアの照葉樹林帯には多くの民俗が生活をしています。その生活の中には民俗は違っても共通するくらしの文化が存在します。
茶の葉を加工して飲用すること。大豆から発酵食品のみそや納豆、しょう油を作ること。マユから生糸をとること。アイで糸を染める染色技術。そしてウルシの樹液を木の器に塗って漆器を作ることなどです。
これらのくらしの文化は豊かな照葉樹林帯の自然の中から育まれたものと言えます。
7ヤッコソウ
- ヤッコソウは、シイノキの根元にまれに見ることができる寄生植物です。
葉緑体をもたず、自分で光合成をして栄養分をつくることができないためシイノキの根から栄養分を横取りして生きています。手を広げたような部分に蜜があり、メジロやハチなど蜜を吸いに来た生きものの助けを借りて受粉します。
ヤッコソウは、世界的にも大変珍しく、日本では四国、九州、南西諸島に分布しており、10月から11月にかけて見ることができます。
8キイロスズメバチ
- うろこの模様をした大きな丸い物が、木にくっついています。これはキイロスズメバチの巣です。
キイロスズメバチは、腹部のほとんどが黄色でよく目立ちます。体長は女王バチは約3cmで、働きバチは女王バチより小さく約2cmです。キイロスズメバチは社会性昆虫で、役割分担をして生活しています。女王バチは産卵を、オスのハチは女王バチと生殖を、働きバチは巣作りや育児、えさ集めを行います。
巣を刺激するとおしりにある針で攻撃してきます。針に刺されると激しい痛みが生じます。
9キリノミタケ
- キリノミタケは大変珍しいキノコで、日本とアメリカテキサス州にしか分布していません。1893年にアメリカで発見され、1937年に宮崎県で確認されました。当時は、宮崎県とテキサスだけにしかなかったことから「幻のキノコ」と呼ばれました。
現在では西日本でも見つかっていますが、分布の多くは宮崎県です。アメリカのものは細長く、葉巻のような形で胞子を煙のように吹き上げるので、地底に住む悪魔が吸う葉巻に見立て「DEVIL’S CIGAR」と呼ばれています。発生地が限られているため、絶滅危惧種に指定されています。
10ニホンカモシカ
- ニホンカモシカは、名前にシカとありますがウシ科の動物です。
オスにもメスにも角があります。縄張りをもち、目の下にある眼下腺から出た分泌液を木の枝などにこすりつけ、縄張りを主張します。
日本にしか生息しない固有の動物で、本州・四国・九州の限られた場所にのみ生息しています。九州では数が少なく、大分県・熊本県・宮崎県3県の高山のブナ林が広がる険しい山に生息しています。
本県では低山の照葉樹林地である県中央部の綾町にも生息しています。全国的には数が少なく、国の特別天然記念物に指定されています。
11みやざきの水辺
- このコーナーは、河川・海・湿原に分かれています。河川は上流域、中流域、下流・河口域に分かれます。
展示ではその流域にいる魚や小さな生きものを紹介しています。
海は、「サンゴの海」「干潟」「磯の自然」「アカウミガメ」に分かれています。宮崎の海岸は、砂浜・干潟・ラグーンと特徴のある地形です。展示ではそれらの海で見られる生物を紹介しています。
湿原は、1974年に国の天然記念物に指定された「川南湿原」を紹介しています。展示では湿原にある稀少な植物や食虫植物を見ることができます。
12アカウミガメ
- アカウミガメは、大きな甲羅をもち体長1m、体重100㎏程になります。海を回遊し、主にエビやウニ、イカなどを食べています。
本県では毎年5月から8月にかけて産卵のために砂浜に上陸します。一度で70個から150個程の卵を産みます。卵は2ヶ月程で孵化し、孵化した子ガメは光などを頼りに海へ向かいます。
本県の海岸は砂質が産卵に適しているので重要な産卵地となっています。日南市・宮崎市から高鍋町・延岡市の海岸はアカウミガメの産卵地としてアカウミガメとともに県の天然記念物に指定されています。
13宮崎の大地
- これは県北部にある日向市馬ヶ背の柱状節理です。1500万年前、現在の日向市の沖合にあった火山が大噴火をした時に火砕流が冷え固まってできたものです。
ここから先は宮崎の大地の成り立ちを古い時代から順に紹介しています。
奥にはティラノサウルスやナウマンゾウの全身骨格など各時代の化石を展示しており、生き物の進化についても知ることができます。隕石やサルタサウルスのウデの骨、アンモナイトの化石など、触れることのできる資料もあります。
また、4カ所に設置された顕微鏡では岩石などの観察ができます。
14シルル・デボン紀化石群
- 県北部に位置する五ヶ瀬町・祇園山は、ここにある約4億数千万年前の古生代シルル・デボン紀の化石を産出することで有名です。
クサリサンゴ・ハチノスサンゴ・ウミユリ・三葉虫などが代表的です。クサリサンゴ・ハチノスサンゴなどは、現在のサンゴとは姿が違う原始的なサンゴの仲間です。
これらのサンゴ化石の構造は、クサリやハチの巣のように見えることから、それぞれ、クサリサンゴ・ハチノスサンゴと名づけられました。
15鬼の洗濯岩
- 県南部の日南海岸には、砂と泥の層でできた「鬼の洗濯岩」が広がっています。大きな鬼が洗濯で使う板のように見えることからこの名称で呼ばれています。
今から約700万年前に海の中で堆積した地層です。洪水などによって深い海底に砂や泥が流れ込むと、粒が大きく重い砂が先に沈み、泥は後からたまります。長い年月の間これを繰り返し、砂岩と泥岩の縞模様の地層ができました。その後地層は持ち上げられて傾き、波で削られました。砂岩に比べてやわらかな泥岩の方が多く削られて今の形になりました。
16ダンブリ石
- ダンブリ石は、アメリカのコネチカット州ダンベリーで見つかった鉱物です。色は、無色透明から白色です。結晶は四角い柱状で、縦方向に筋があります。
カットしてダイヤモンドの代わりとされました。キラキラ輝く性質があるからです。値段はダイヤモンドの半分ほどの時もありました。
しかし、今、日本のダンブリ石は宝石としてカットされていません。海外の豊富で質が良いものや、人工ダイヤモンドがあるからです。
日本では数カ所でしか産出しない貴重な物で、県北部の高千穂町の土呂久鉱山が代表的な産地でした。
17ナウマンゾウ
- これは北海道産のナウマンゾウの全身復元骨格です。名前は「日本地質学の父」といわれるナウマン博士にちなんで付けられました。
肩までの高さは約2~3mあります。1対の牙を持っており、特にオスでは長いもので2m以上にもなりました。彼らは約40万年前の寒冷な時期、大陸と陸続きとなった日本に渡ってきましたが、約2万年前に絶滅しました。
宮崎県では県央部の西都市でこどもの乳臼歯と下あごの骨、県西部のえびの市でおとなの下あごの骨の2点が発見されています。
18宮崎の生物
- 生物は、環境の変化に適応して生活しています。本県では、寒い地域にすむ種類と、暖かい地域にすむ種類が混在しています。標高1,700mの冷涼な山岳地や、黒潮という暖かい海流の影響のためです。
本県には自生している動植物だけでも約6,000種類います。植物展示は、「分布から見た宮崎の植物」「宮崎にしかない植物」「宮崎の地名のついた植物」「宮崎に種類の多い植物」「宮崎を特徴づける植物」で構成しています。
動物展示は、「貝類」「昆虫類」「両生類・は虫類」「鳥類」「ほ乳類」について紹介しています。
19キバナノツキヌキホトトギス
- キバナノツキヌキホトトギスは、世界中で宮崎県にしかない植物です。名前のホトトギスとは花に見られる斑点模様が鳥のホトトギスの模様と似ているためです。
湿った険しい崖に垂れ下がって生育します。茎が葉を突き抜けたように見えることがこの植物の特徴です。9月下旬から10月下旬、葉の付け根に直径3㎝くらいの黄色い花を1~2個ずつ上向きに付けます。鑑賞目的の乱獲等で数が減少しており、絶滅危惧種に選定されています。
20アサギマダラ
- アサギマダラは薄い水色のアサギ色をした、美しく大きなチョウです。
特徴は、春から初夏の北上移動と秋は南下移動という長距離移動を行うことです。上昇気流や風などを使って移動します。アサギマダラのメスはガガイモ類の葉に産卵します。孵化した幼虫はこの葉を食べ成長します。ガガイモ類にはアルカロイドなどの毒があります。幼虫はこの毒を体内にためこみます。成長した幼虫は、黄色と黒の派手な色彩で角のある姿に変わっていきます。これは毒をもっていることをアピールし、鳥などの外敵から身を守るためです。
21幸島のサル
- 幸島は宮崎県の南端にあり、周囲が約3.5㎞の島です。幸島にはニホンザルが生息しています。
ニホンザルは尾が短くほおぶくろがあり、お尻と顔が赤いのが特徴です。幸島のニホンザルは1953年に動物の世界で初めて文化的行動が発見されました。それは一匹のサルがサツマイモを海水で洗い、その行動が他のサルや、またその子ども達にも伝わったというものです。
その他にも海水を使い麦と砂を分けて食べたり、海で泳ぐ行動も見られます。こうした理由から幸島のニホンザルと幸島は国の天然記念物に指定されています。
22コシジロヤマドリ
- コシジロヤマドリは、腰から尾の付け根に幅の広い白色の羽毛が見られるヤマドリの一亜種です。
低い山から山地のよく茂った林に生息しています。4月から5月に地上に窪みを作って、7個から13個の卵を産みます。オスがさえずることはなく、両方の翼を打ち振り「ドドドドッ・・・」と羽音をたてます。これをドラミングといい、繁殖期のほか、威嚇する時や縄張りを示す時などに行います。
本県では中部以南に生息しており、1964年に宮崎県の鳥に制定されました。
23ふるさとの自然
- このコーナーは、人間と自然との関係をテーマにしています。
モニターの映像では、人々が自然と共存し、衣食住を自然に頼りながら生活をしていた頃の様子を見ることができます。展示ケースやパネルにはその頃の森や草原、小川やため池などに普通に見られた生きものを紹介しています。
しかし、近年、森林伐採や開発などが原因で、多くの生きものたちが絶滅に追い込まれています。クマやタカなどは、日本や本県で絶滅したり絶滅が心配されている生きものです。
私たちは自然とどう関わるのかを考えなければなりません。
24カンムリウミスズメ
- カンムリウミスズメは、ずんぐりとした体型をした小さなペンギンのようにも見える鳥です。翼は短く、飛ぶことは苦手ですが足には水かきがあり泳ぎが得意です。
本県内では、県北部の門川町沖「枇榔島」で繁殖が確認されています。3~5月に陸に上がり、岩の割れ目や穴の中に巣をつくって2個の卵を産みます。30日ほどで孵化しますが、その翌日には親に連れられて海へ出て、繁殖期以外のほとんどを海上で生活します。日本近海に5000羽ほどしかいない希少性もあり、国の特別天然記念物に指定されています。