この作品が制作された大正6年に中澤は、春に朝鮮半島を旅行をしている。そして秋の第11回
[文展]にこの作品を無鑑査出品している。白い民族服を身に付け、扇子を持った二人の女性像と左下の黒い山羊を対比させ、異国情緒をかもしだしている。また手前の人物、その背景に見える池らしい部分や遠景の左奥の木々の間から見える建物などの配置が、画面に遠近感を与えている。
[タッチ]は
[点描]のようにさほど細かくはなく、人物の表現には黒く暗い影は見当たらない。水の表現など
[印象派]を彷彿(ほうふつ)させるような、
[外光派]の手法が見られる、中澤43歳の時の作品である。