宮崎県立美術館
宮崎県立美術館外観 ロビー
コレクション展

当館の収蔵作品を紹介するコレクション展。郷土作家はもちろん、海外の著名な作家の作品も多数紹介しており、
県外から来られたお客様にも大好評をいただいています。コレクション展は年に4回、多彩なテーマを設けて開催します。

   

令和6年4期コレクション展「たのしむ美術館」 2025年1月9日から4月8日まで 観覧無料

   

名品セレクションV + 名作へのオマージュ

 宮崎県立美術館は、現在約4,200点の作品を収蔵しています。これらは、次の3つの収集方針に基づいて収集されています。

  1. 郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品
  2. わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品
  3. 海外のすぐれた作品

 ここでは、当館のコレクションを代表する国内外の名品を展示しています。
今回は、わが国の絵画史に大きな足跡を残した日本画の大家である川端玉章や川合玉堂、洋画の和田英作や中澤弘光の名品のほか、海外作家では自作のミニチュア複製をトランクに詰め込んだマルセル・デュシャンの携帯型美術館とでも言えるような作品などを紹介しています。
 また、誰もが知っている西洋の名画をモティーフにして制作された作品を特集展示します。美術史に名を残す作家たちの名品の数々をご覧ください。

和田英作「暁」

和田英作
「暁」

宮崎の美術 −めでたづくし

 明治期以降、日本の美術は急激な西洋化の波にさらされます。日本の洋画家たちは、西洋画の写実表現や遠近法などを取り入れ、独自の表現を求めて模索を続けました。このような状況下で、国が主催する文展が創設されます。本県の洋画家では、西都市出身の塩月桃甫が、大正5(1916)年に文展入選を果たしました。
 また、都城市を代表する山田新一は、大正14(1925)年に文展を前身とする帝展に初入選し、中央画壇で活躍しました。一方、伝統的な日本画の世界においても、西洋画の要素や特徴を取り入れた新しい「日本画」への取り組みが進みました。本県を代表する日本画家として、文展で受賞を重ねるなど日本画界をリードした都城市出身の山内多門、同じく都城出身で、大正4(1915)年の文展において初入選で褒状を受けた益田玉城が挙げられます。
 ここでは、これら宮崎県を代表する画家たちの作品を中心に紹介するとともに、日本で吉祥とされる縁起のよいモティーフに注目した特集展示も行います。本県出身やゆかりの作家による多彩な作品をお楽しみください。

塩月桃甫「七福神」

塩月桃甫
「七福神」

人体表現

人体は、彫刻において最もポピュラーな題材の一つであり、古くから現在に至るまで、多くの作家たちにより人体彫刻が作られてきました。人体彫刻を構成する要素は、表面(質感)、色、素材、量感(ボリューム)、バランスなど多岐にわたり、また表現の面でも、テーマに応じた形態、動きや感情表現など、様々な要素が組み合わさって一つの作品を形作っています。ここでは、3人の作家による人体を表現した彫刻作品を、それぞれ異なる要素の視点から紹介します。
 メッシーナの作品は、顔や手足を省略した胴体だけの像(トルソ)の形で女性の体を表現したものです。全身に水が流れ落ちたような跡がつけられており、一見傷のようですが、むしろトルソの美しさを際立たせているようです。マスケリーニの「イカロス」は、ギリシア神話を題材にした作品です。翼をつけたイカロスが空高く舞い上がるイメージを、上昇していくような鋭い形態によって表しています。
 フィノッティの「アヌビス1」はジャッカルの頭をもつ人物などの姿で表現される古代エジプトの犬神を表現しています。素材に用いられた黒い大理石が、作品に神秘性を持たせています。  それぞれの作家が生み出す人体表現の魅力をお楽しみください。

ノヴェッロ・フィノッティ「アヌビス1」

ノヴェッロ・フィノッティ
「アヌビス1」

瑛九 1925-1959

 瑛九(本名: 杉田秀夫)は、明治44(1911)年に宮崎市で生まれました。昭和11(1936)年に、カメラを使わず、印画紙に直接物や型紙などを置いて感光させて作るフォト・デッサン(フォトグラム) を瑛九の名で発表し、画壇にデビューしました。瑛九はフォト・デッサンの他にも、油彩や版画など様々な表現に挑戦し、多くの作品を制作しました。
 ここでは、現存する最古の油彩である大正14(1925)年の「秋の日曜日」から、昭和34(1959) 年の絶筆「つばさ」までの作品を、萌芽期(1925 〜 1930 年代前半)、展開・彷徨期(1930 年代後半〜40年代)、開花期(1950年代)に分けて紹介します。様々な変遷を遂げた瑛九の画業を、書簡や評論文等、当時の様子が分かる写真資料などとともにご覧ください。

瑛九「旅人」

瑛九
「旅人」

 

ギャラリートーク

 展示の見どころや作品について、分かりやすくお話しします。
 途中からのご参加も可能です。お気軽にご参加ください。


  • 場所:コレクション展示室
  • 所要時間:30分程度
  • 参加無料・申込不要
日時 テーマ 場所
 1月11日(土) 14:00〜 コレクション展(第4期)の見どころ 全室
 2月22日(土) 14:00〜 コレクション展(第4期)「瑛九 1925-1959」の見どころ 瑛九展示室
 3月16日(日) 14:00〜 コレクション展(第4期)の見どころ 全室

みやざきデジタルミュージアム
コレクション展で展示している当館収蔵作品の画像や解説等(一部)がご覧になれます。


令和6年度のコレクション展
※内容等につきましては、都合により変更する場合があります。

第1期

名品セレクションT
+美術と音楽
宮崎の美術
−特集 塩月桃甫
画家の目線
 瑛九の眼
イタリア現代彫刻 3人のM

 

マグリットや北川民次などの名品を展示するとともに、音楽に関係する作品を特集します。
山内多門、鱸利彦ら本県を代表する作家たちの作品とともに、没後70年を迎えた塩月桃甫の作品をまとめて紹介します。
風景画における画家の目線をテーマに、水平線や地平線に着目して久野和洋や野田典男らの風景画を紹介します。
瑛九の重要なモティーフの一つと言える「眼」。様々な作品に描かれた眼を通して、瑛九の芸術に対するまなざしを探ります。
現代イタリア彫刻に大きな影響を与えた3Mと称されるマルティーニ、マリーニ、マンズーの作品を紹介します。

令和6年4月13日(土)
〜6月30日(日)
終了しました

第2期

たのしむ美術館

 

子どもから大人まで、どなたでも気軽に美術を楽しんでいただける展覧会です。すてきな発見や感動が待っています。

令和6年7月9日(火)
〜10月1日(火)
終了しました

第3期

名品セレクションU
+パリの日本人画家たち
宮崎の美術
−クローズアップ1914
画家と戦争
瑛九と仲間たち
ミングッツィ −愛と優しさ

 

ボナールやオノサト・トシノブなどの名品を展示するとともに、日本人画家たちがパリで制作した作品を特集します。
益田玉城、塩月桃甫ら本県を代表する作家たちの作品とともに、1914年に生まれた5人の郷土作家の作品を紹介します。
ピカソやルオー、浜田知明らにより制作された、戦争をテーマにした作品や戦争を背景とする作品を紹介します。
瑛九と美術団体などにおける仲間たちとの交流を、当時の資料や作品とともに紹介します。
戦争の体験から、人間の運命、愛、優しさを表現したミングッツィの作品を紹介します。

令和6年10月5日(土)
〜12月22日(日)
終了しました

第4期

名品セレクションV
+名作へのオマージュ
宮崎の美術
−めでたづくし
人体表現
瑛九 1925-1959

 

デュシャンや中澤弘光などの名品を展示するとともに、名作をオマージュした作品を特集します。
山田新一、小野彦三郎ら本県を代表する作家たちの作品とともに、日本で吉祥とされるモティーフが描かれた作品を紹介します。
メッシーナやマスケリーニらが人体を表現した彫刻作品を、もととなったイメージや形態などの視点から紹介します。
瑛九の画業を、萌芽期、展開・彷徨(ほうこう)期、開花期に分け、資料とともに紹介します。

令和7年1月9日(木)
〜4月8日(火)

 

過去のコレクション展はこちら(PDFファイル 705KB)