宮崎県立美術館
宮崎県立美術館外観 ロビー
コレクション展

当館の収蔵作品を紹介するコレクション展。郷土作家はもちろん、海外の著名な作家の作品も多数紹介しており、
県外から来られたお客様にも大好評をいただいています。コレクション展は年に4回、多彩なテーマを設けて開催します。

   

令和6年2期コレクション展「たのしむ美術館」 2024年7月9日(火)から10月1日(火)まで 観覧無料

   

作名品セレクションU +パリの日本人画家たち

 宮崎県立美術館は、現在約4,200点の作品を収蔵しています。これらは、次の3つの収集方針に基づいて収集されています。

  1. 郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品
  2. わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品
  3. 海外のすぐれた作品

 ここでは、当館のコレクションを代表する国内外の名品を展示しています。今回は、共に南仏サン・トロペに強い印象を受けて描かれたピエール・ボナールとポール・シニャックの作品、円と四角形で構成されるオノサト・トシノブの幾何学的な抽象画などを紹介しています。
 また、フランス・パリに渡った日本人画家たちの作品を特集展示します。美術史に名を残す作家たちの名品の数々をご堪能ください

ピエール・ボナール「葡萄を持つ女」

ピエール・ボナール
「葡萄を持つ女」

 

宮崎の美術  −クローズアップ1914

 明治期以降、日本の美術は急激な西洋化の波にさらされます。日本の洋画家たちは、西洋画の写実表現や遠近法などを取り入れ、独自の表現を求めて模索を続けました。このような状況下で、国が主催する文展が創設されます。本県の洋画家では、西都市出身の塩月桃甫が、大正5(1916)年に文展入選を果たしました。また、都城市を代表する山田新一は、大正14(1925)年に文展を前身とする帝展に初入選し、中央画壇で活躍しました。一方、伝統的な日本画の世界においても、西洋画の要素や特徴を取り入れた新しい「日本画」への取り組みが進みました。本県を代表する日本画家として、文展で受賞を重ねるなど日本画界をリードした都城市出身の山内多門、同じく都城出身で、大正4(1915)年の文展において初入選で褒状を受けた益田玉城が挙げられます。
 ここでは、これら宮崎県を代表する画家たちの作品を中心に紹介するとともに、1914年に生を受けた本県出身・ゆかりの5人の作家にスポットを当てた特集展示も行います。バラエティに富んだ作品をお楽しみください。

中澤弘光「早春」

中澤弘光
「早春」

 

画家と戦争

 来る2025年は、戦後80年という節目を迎える年です。戦争を知る世代が減少し、記憶の風化などが問題になってきましたが、ここ数年で、世界情勢の流動化・不安定化が加速してきています。私たちが当たり前に謳(うた)ってきた、平和の尊さや大切さが脅かされるような現状が日々報道され、戦争は過去のことではないという現実を思い知らされます。
 本展では、ピカソやルオー、浜田知明、坂本正直らにより制作された、戦争をテーマや背景にした作品を紹介します。彼らは、自身の戦争体験や同時代に起こっている戦争への不安感、平和への祈りなどを、それぞれの方法で作品に込めて表現しています。画家や彫刻家にとっての戦争、彼らが表現した戦争を通して、ぜひ「戦争とは」「平和とは」ということについて、改めて見つめ直してみてください。

坂本正直「戦死輜重一等兵」

坂本正直
「戦死輜重一等兵」

 

瑛九と仲間たち

 瑛九(本名:杉田秀夫)は、明治44(1911)年に宮崎市で生まれました。昭和11(1936)年に、カメラを使わず、印画紙に直接物や型紙などを置いて感光させて作るフォト・デッサンを瑛九の名で発表し、画壇にデビューしました。瑛九はフォト・デッサンの他にも油彩や版画など様々な表現に挑戦し、多くの作品を制作しました。
 23歳の時、宮崎美術協会の創立集会で、当時宮崎に美術教師として赴任したばかりの山田光春と出会います。その後、山田を含めた仲間たちと美術グループ「ふるさと社」を結成してグループ展を行いました。瑛九の名で活動するようになった後も、自由美術家協会やデモクラート美術家協会といった美術団体、グループなどでの活動を通して、オノサト・トシノブや泉茂、靉嘔、池田満寿夫など様々な画家たちと交流しました。
 ここでは、瑛九がその生涯の中で挑戦した様々な表現の作品とともに、交流のあった画家たちの作品を、資料やエピソードとあわせて紹介します。

瑛九「ブーケ(花束)」

瑛九
「ブーケ(花束)」

 

ミングッツィ −愛と優しさ

 ここでは、イタリアを代表する現代彫刻家の1人であるルチャーノ・ミングッツィ(1911-2004)の作品を紹介します。初期には彫刻を絵画的に表現したアルトゥーロ・マルティーニ(1889-1947)から強い影響を受け、柔軟な身のこなしを見せる曲芸師や遊ぶ子供たちなど、具象的な作品を制作していましたが、その後、次第に半抽象的な作風へと変わっていきます。1950年代には極端な変形・形の単純化が見られるようになり、より劇的な表現のスタイルへと発展するとともに、強制収容所やガス室等、戦争に関連したテーマに取り組みました。これはミングッツィ自身が武器を取り、権力や占領軍に抵抗した第二次世界大戦の体験によるものです。
 彫刻作品「二人の像」では、2人の頭部や腕などが大胆に省略され、座る人物には、あらゆる外敵から愛する者を守ろうとする空気が漂っています。ミングッツィは表現しようとする対象から様々な要素をそぎ落とすことで、その内部にある真の姿を表そうとしました。作品をとおして、私たちに人間の愛と優しさを語りかけているかのようです。

ルチャーノ・ミングッツィ「二人の像」

ルチャーノ・ミングッツィ
「二人の像」

 

ギャラリートーク

 展示の見どころや作品について、分かりやすくお話しします。
 途中からのご参加も可能です。お気軽にご参加ください。


  • 場所:コレクション展示室
  • 所要時間:30分程度
  • 参加無料・申込不要
日時 テーマ 場所
 10月20日(日) 14:00〜 コレクション展(第3期)の見どころ 全室
 12月1日(日) 14:00〜 コレクション展(第3期)の見どころ 全室

みやざきデジタルミュージアム
コレクション展で展示している当館収蔵作品の画像や解説等(一部)がご覧になれます。


令和6年度のコレクション展
※内容等につきましては、都合により変更する場合があります。

第1期

名品セレクションT
+美術と音楽
宮崎の美術
−特集 塩月桃甫
画家の目線
 瑛九の眼
イタリア現代彫刻 3人のM

 

マグリットや北川民次などの名品を展示するとともに、音楽に関係する作品を特集します。
山内多門、鱸利彦ら本県を代表する作家たちの作品とともに、没後70年を迎えた塩月桃甫の作品をまとめて紹介します。
風景画における画家の目線をテーマに、水平線や地平線に着目して久野和洋や野田典男らの風景画を紹介します。
瑛九の重要なモティーフの一つと言える「眼」。様々な作品に描かれた眼を通して、瑛九の芸術に対するまなざしを探ります。
現代イタリア彫刻に大きな影響を与えた3Mと称されるマルティーニ、マリーニ、マンズーの作品を紹介します。

令和6年4月13日(土)
〜6月30日(日)
終了しました

第2期

たのしむ美術館

 

子どもから大人まで、どなたでも気軽に美術を楽しんでいただける展覧会です。すてきな発見や感動が待っています。

令和6年7月9日(火)
〜10月1日(火)
終了しました

第3期

名品セレクションU
+パリの日本人画家たち
宮崎の美術
−クローズアップ1914
画家と戦争
瑛九と仲間たち
ミングッツィ −愛と優しさ

 

ボナールやオノサト・トシノブなどの名品を展示するとともに、日本人画家たちがパリで制作した作品を特集します。
益田玉城、塩月桃甫ら本県を代表する作家たちの作品とともに、1914年に生まれた5人の郷土作家の作品を紹介します。
ピカソやルオー、浜田知明らにより制作された、戦争をテーマにした作品や戦争を背景とする作品を紹介します。
瑛九と美術団体などにおける仲間たちとの交流を、当時の資料や作品とともに紹介します。
戦争の体験から、人間の運命、愛、優しさを表現したミングッツィの作品を紹介します。

令和6年10月5日(土)
〜12月22日(日)

第4期

名品セレクションV
+名作へのオマージュ
宮崎の美術
−めでたづくし
人体表現
瑛九 1925-1959

 

デュシャンや中澤弘光などの名品を展示するとともに、名作をオマージュした作品を特集します。
山田新一、小野彦三郎ら本県を代表する作家たちの作品とともに、日本で吉祥とされるモティーフが描かれた作品を紹介します。
メッシーナやマスケリーニらが人体を表現した彫刻作品を、もととなったイメージや形態などの視点から紹介します。
瑛九の画業を、萌芽期、展開・彷徨(ほうこう)期、開花期に分け、資料とともに紹介します。

令和7年1月9日(木)
〜4月8日(火)

 

過去のコレクション展はこちら(PDFファイル 705KB)