宮崎県立美術館
宮崎県立美術館外観 ロビー
コレクション展

当館の収蔵作品を紹介するコレクション展。郷土作家はもちろん、海外の著名な作家の作品も多数紹介しており、
県外から来られたお客様にも大好評をいただいています。コレクション展は年に4回、多彩なテーマを設けて開催します。

   

令和7年1期コレクション展 2025年4月12日から7月8日まで 観覧無料

   

名品セレクションT + 装いの表現

 宮崎県立美術館は、現在約4,200点の作品を収蔵しています。これらは、次の3つの収集方針に基づいて収集されています。

  1. 郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品
  2. わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品
  3. 海外のすぐれた作品

 ここでは、当館のコレクションを代表する国内外の名品を選りすぐって紹介します。海外作家では、新印象派を代表するポール・シニャック、20世紀最大の巨匠パブロ・ピカソらの作品を展示するほか、特に力を入れて収集しているシュルレアリスムの作品からは、昨年新たに収蔵したマン・レイの写真作品を初公開します。
 国内作家では、草創期の日本洋画界をけん引した藤島武二や、宮崎県を代表する画家・瑛九と親交があったオノサト・トシノブ、泉茂などの作品を紹介します。
 また、作品に描かれた人物が身に着けている衣服や装飾品に注目した特集展示も行います。美術史に名を残す著名な作家たちによる名品の数々をご堪能ください。

藤島武二「台南聖廟」

藤島武二
「台南聖廟」

宮崎の美術 − 特集 益田玉城

 明治期以降、日本の美術は急激な西洋化の波にさらされます。日本の洋画家たちは、西洋画の写実表現や遠近法などを取り入れ、独自の表現を求めて模索を続けました。このような状況下で、国が主催する文展が創設されます。本県の洋画家では、西都市出身の塩月桃甫が、大正5(1916)年に文展入選を果たしました。また、都城市を代表する山田新一は、大正14(1925)年に文展 を前身とする帝展に初入選し、中央画壇で活躍しました。一方、伝統的な日本画の世界においても、西洋画の要素や特徴を取り入れた新しい「日本画」への取り組みが進みました。本県を代表する日本画家として、文展で受賞を重ねるなど日本画界をリードした都城市出身の山内多門、同じく都城出身で、大正4(1915)年の文展において初入選で褒状を受けた益田玉城が挙げられます。
 ここでは、これら宮崎県を代表する画家たちの作品を中心に紹介するとともに、没後70年を迎えた益田玉城の美人画にスポットを当てた特集展示も行います。本県出身やゆかりの作家による多彩な作品をお楽しみください。

益田玉城「錦帯橋」

益田玉城
「錦帯橋」

追悼・彌勒祐徳と西都の作家たち

 昨年、105歳で生涯を終えた彌勒祐徳(みろく・すけのり)は、西都市の出身です。美術教師として主に県内の中学校などで教えながら、躍動感あふれる独特の画風で個展を中心に活動し、1000点を超える数多くの作品を生み出しました。退職後も市民向けの美術教室を開くなど、地元に根を張り、人間味あふれる人柄で誰からも愛された彌勒は、祭りや神楽、桜などの自然をテーマに、命尽きるまで描き続けました。
 本展では、生涯現役を貫き、自らの画業を全うした彌勒祐徳の作品を、生前の言葉とともに紹介します。
 また、洋画家の太佐豊春、彫刻家の鬼塚良昭など、西都市出身やゆかりの作家たちの作品も紹介します。彌勒と同世代や、その後に続く作家たちのバラエティあふれる作品も併せてお楽しみください。

彌勒祐徳「村まつり」

彌勒祐徳
「村まつり」

私の中の瑛九

 瑛九が亡くなって今年で 65 年になりますが、生前から現在に至るまで、様々な場所で瑛九に関連する展覧会などが開かれています。これまで、瑛九とその作品について関係者や研究者らによって、展覧会の図録や雑誌等の書籍、新聞などで語られてきました。最もプライベートな様子を知る家族、美術団体等で活動した仲間らが、瑛九への思いを記したものは数多くあります。中には瑛九へ語りかけるように表現したり、詩の形式をとったりする人たちもいました。また、評論家や研究者たちは肯定的な点と批判的な点の両方から瑛九の作品について論じています。
 ここでは、それぞれが語る「瑛九」と「瑛九の作品」を通して、瑛九が人々にどのようにとらえられてきたのか、作品や資料とともに紹介します。

瑛九「田園B」

瑛九
「田園B」

 

イタリア彫刻 − 師との出会い

 美術作家にとって、師と仰ぐ人物との出会いは、時にその後の作品制作に大きな影響を与えます。それは作風や使用する素材、または制作に対する考え方など様々です。ここでは、現代イタリア彫刻の巨匠2人の作品と、それぞれに師事した日本人作家の作品を紹介します。
 川原竜三郎は、1964年イタリアに留学し、ペリクレ・ファッツィーニのもとで学びました。ファッツィーニのアトリエを訪れた際、一枚の蝋(ろう)を渡されたことがきっかけで、川原は蜜ろうなどで原型を作って鋳造する「ろう型」の作品制作を試みるようになり、後に日本における「ろう型鋳造彫刻」の第一人者としての地位を確立しました。
 平原孝明もまた1970年に留学し、フランチェスコ・メッシーナに師事しました。女性像を古典的な形態で表現し、様式美を極めたメッシーナのもとで学んだ平原は、形に対する感覚を研ぎ澄ましていきました。帰国後は、高村光太郎大賞展で連続受賞するなどの活躍を見せています。
 異国の地で学び、師との出会いを通して自らの表現を追求した川原と平原。師の作品と共通する部分や、影響を受けてさらに独自の表現へと昇華させた部分など、師弟の作品の響き合いをお楽しみください。

ベリクレ・ファッツィーニ「少年とカモメ」

ベリクレ・ファッツィーニ
「少年とカモメ」

 

ギャラリートーク

 展示の見どころや作品について、分かりやすくお話しします。
 途中からのご参加も可能です。お気軽にご参加ください。


  • 場所:コレクション展示室
  • 所要時間:30分程度
  • 参加無料・申込不要
日時 テーマ 場所
 4月27日(日) 14:00〜 コレクション展(第1期)の見どころ 全室
 7月19日(土) 14:00〜 コレクション展(第2期)「たのしむ美術館」の見どころ 全室
 10月26日(日) 14:00〜 コレクション展(第3期)の見どころ 全室
 12月14日(日)14:00〜 コレクション展(第3期)の見どころ 全室
 1月10日(土) 14:00〜 コレクション展(第4期)の見どころ 全室
 3月15日(日) 14:00〜 コレクション展(第4期)の見どころ 全室

みやざきデジタルミュージアム
コレクション展で展示している当館収蔵作品の画像や解説等(一部)がご覧になれます。

令和7年度のコレクション展
※内容等につきましては、都合により変更する場合があります。

第1期

名品セレクションT
+装いの表現
宮崎の美術
−特集 益田玉城
追悼・彌勒祐徳と
西都の作家たち
 私の中の瑛九
イタリア現代彫刻
−師との出会い

 

ピカソや藤島武二らの名品やシュルレアリスムの作品を展示するとともに、描かれた衣服に注目した特集展示を行います。
山内多門、伊達孝太郎ら本県を代表する作家たちの作品とともに、没後70年を迎えた益田玉城の美人画をまとめて紹介します。
祭りや神楽、桜などの自然をテーマに描き続けた彌勒祐徳の作品を中心に、西都市出身・ゆかりの作家の作品を紹介します。
瑛九と関わりのあった人々の証言や資料をもとにして、瑛九の人物像と画業を紹介します。
ファッツィーニに伝統技法を学んだ川原竜三郎、メッシーナに師事した平原孝明。それぞれの作品を師の作品とともに紹介します。

令和7年4月12日(土)
〜7月8日(火)

第2期

たのしむ美術館

 

子どもから大人まで、どなたでも気軽に美術を楽しんでいただける展覧会です。すてきな発見や感動が待っています。

令和7年7月13日(日)
〜10月7日(火)

第3期

皆でつくる
マイ・ミュージアム

 

県立美術館は、令和7年10月に開館30周年を迎えます。これを記念して、皆さんのリクエストによって選ばれた作品を展示する記念コレクション展です。

令和7年10月11日(土)
〜12月21日(日)

第4期

名品セレクションU
+人物を描く
宮崎の美術
−四季を彩る
マリノ・マリーニ
−彫刻と版画
瑛九
−紙の仕事

 

セリグマンや麻生三郎らの名品を展示するとともに、人物を描いた作品を特集します。
山田新一、塩月桃甫など本県を代表する作家たちの作品とともに、小野彦三郎、中澤弘光らによる季節を感じさせる作品を紹介します。
馬と騎手の彫刻を手がけたマリーニの作品を版画作品とともに紹介します。
油彩を画業の軸としながらも、1950年代に紙を支持体として制作した版画やフォト・デッサンの作品を紹介します。

令和8年1月9日(金)
〜4月7日(火)

 

過去のコレクション展はこちら(PDFファイル 714KB)